オーストラリアの大学留学徹底ガイド
オーストラリアは4万年前に遡る伝統あるアボリジニ文化と、現代の文化、新しい歴史が融合した、古くて新しい国です。 豊かな自然と温暖な気候に恵まれ、治安が良く暮らしも安全で物価も比較的安いのが魅力。スキューバダイビングの世界的スポット、グレート・バリア・リーフや巨大な一枚岩のエアーズ・ロックなど世界に類を見ない壮大な自然景観があります。また、カンガルー、コアラ、カモノハシなどのユニークな動物たちにも出会えるオーストラリア。日本とは季節は逆ですが、時差は1-2時間なので無理なくすぐに現地生活に入れます。道路も日本と同じ左側通行なので、車の運転もスムーズに行えるでしょう。
オーストラリアの基本情報
正式名称:オーストラリア連邦
英語名:Australia
面積:約769万km²(日本の約20倍)
人口:約2500万人
人種:アングロサクソン系等欧州系人が中心
首都:キャンベラ
言語:英語
時差:時差は3地域に分かれ、シドニーは日本との時差が1時間(夏時間は2時間)なので、日本との連絡が取りやすいです。
オーストラリアの気候
赤道を挟んでいるため季節は日本と逆になります。全体に温暖で暮らしやすいので、どこの地域も留学しやすいのが魅力。
オーストラリアの教育機関の種類と特徴
政府によって教育のクオリティーが保証されているため、取得した学位や資格は他の学校でも通用します。
大学
オーストラリアには40の大学があり、3校以外はすべて国公立です。
1年目からすぐに専門科目を履修するので、大学学部課程は通常3年間。学士課程を優秀な成績で修了した学生は、1年間の専門研究コース、オナーズ(Honours)に進むことができます。
学位取得に要する期間は専攻によって異なり、教育学部・法学部・工学部は4年、建築・歯学・獣医学は5年、医学部では6年かかります。学位取得の他に、TAFEや私立の専門学校と同様、実践的な技術や知識が得られるディプロマ(Diploma)や、アドバンス・ディプロマ(Advanced Diploma)のプログラムが設けられている点も魅力です。
大学のキャンパス数はオーストラリア全土で180以上。4,700もの専攻があるので、深い専門知識を習得できます。1年間のファウンデーションコースで英語力と専門の基礎知識をつければ、トータル4年間で卒業できるので、留学期間を短縮したい人向けと言えます。
公立専門学校
オーストラリアにはTAFEと呼ばれる公立の職業訓練専門学校があり、高校卒業後の進路として、多くのオーストラリア人がここで学んでいます。
特徴は、職業に直結した実践教育によって、オーストラリア全土で通用する各種資格が取得できること。数カ月のコースから取得可能なサティフィケート(Certificate)にはじまり、ディプロマ(Diploma)やアドバンス・ディプロマ(Advanced Diploma)といった上級コースに進むことができます。
TAFEはオーストラリア全土に100校以上あり、地域のあらゆる職業のニーズに答えるために、多種多様なコースを用意しています。
コース修了後すぐに就職できますが、進学も可能です。多くのTAFEがオーストラリアの大学と提携しているので、学生は上級コース修了後に大学に編入できるのです。ただし、履修単位として認められる単位数は、それぞれの大学が教科の内容などをもとに判断するので、事前のチェックが大切です。
入学の難しい大学に比べて、比較的入りやすいTAFEは留学生向けと言えます。手に職をつけるだけでなく、大学への編入を考える人にも適した留学先でしょう。
TAFEで取得できる資格
TAFEはオーストラリア国内の公立の高等職業専門教育を担うもので、日本の専門学校や短大とは異なります。TAFEで取得した修了資格は職業に就くために必要であり、就職活動でのアピール要素でもあるのです。サティフィケートから順に難易度が上がり、アドバンス・ディプロマが最も高い学位ととなります。厳密にはサティフィケートは“証明書”の意味合いが強く、ディプロマ以上が資格となるので、ディプロマ以上の資格を目標とすることがおすすめです。
アドバンスド ディプロマ Advanced Diploma |
2〜3年の課程で取得する修了資格。取得コースに入れるのはYear 12修了から。留学生なら高校卒業資格から。高いレベルの専門知識と技術を有するものとして、産業界での評価も高い。 |
ディプロマ Diploma |
1〜2年間の課程で取得する修了資格。マーケティング、ファッション、環境学など、TAFEには多様なジャンルのディプロマコースがある。取得コースは、Year 10修了から入学できるもっともレベルの高いコースになる。 |
サーティフィ ケート Certificate |
取得コースは16週間程度のコースから、1年間(10カ月)コースまで、科目によってさまざま。修了すると、修了証であるサーティフィケートを授与される。 |
オーストラリアの高等教育事情
オーストラリアは、教育システムの違いから日本の高校卒業生がストレートで入学することは難しいですが、教育のレベルと質は高い水準となっています。
大学間のレベル格差は少なく、専門学校 TAFEは留学も可能
オーストラリアの大学は、連邦政府と州政府、オーストラリア大学管理理事会により管理されているため、大学は一定の高い水準を保っており、大学間のレベル格差はほとんどありません。政府や産業界と連携し、多様な分野の共同研究センターや教育機関が設けられています。
入学するために必要な英語力は、大学の場合、IELTS5.5-6.0以上、TOEFLiBT70-96以上。日本で高校を卒業している場合は、高校で履修した科目の成績と内容を基準に大学側が入学審査を行います。大学では、1年生から専門科目を履修するため、多くのコースで特定科目を修了済みであることが入学の前提条件となります。
高等公立専門学校テーフ(TAFE)の場合は、IELTS5.5が目安。TOEFLiBTのスコアは70。専攻によって入学条件は異なり、芸術関連コースは、作品提出などが課せられることもあります。
統一基準の資格だからオーストラリア全土で通用
オーストラリアにはAQFというシステムがあります。これは、TAFEや私立専門学校だけでなく、大学や高校における学位や資格を全国的に認定する制度。つまり、オーストラリア国内で取得した学位や資格は、どこの学校でも認められるというわけです。そのため、規定のレベルを修了し、資格や学位を取得した場合は、異なる教育機関に行っても、その上の段階へ進むことができるのです。また、履修中に進路変更をしたい場合も、このシステムであれば変更したい時に自由に変更ができるという点も。柔軟性の高いフレキシブルなシステムなので、自分に合った教育が受けられる点もメリットと言えるでしょう。
また、TAFEなど専門学校の場合、段階を経て資格を取得できます。難易度の低い資格から順番に取得していき、ワンランク上の資格を目指せるシステムです。下表のように、TAFEで取得できる資格は数種あり、サーティフィケートからスタートし、少しずつレベルアップして、アドバンスドディプロマまであります。
こうしたシステムが採用されていることで、一度社会人になってから徐々に資格を取得していくといった進路設計も可能になります。
TAFEの人気学科
オーストラリア人には仕事にすぐ役立つ科目として、教員やナースなどの専門職ならびにコンピュータやビジネスが人気です。留学生はツーリズムを希望する学生が多い傾向です。またコンピュータは英語とコンピュータ操作技術の習得の一石二鳥が狙えるので人気の科目です。
ツーリズム、ホスピタリティ
ツーリズム(Tourism)は観光ビジネスのことで、ホスピタリティ(Hospitality)はおもてなしを意味する言葉。旅行業界に就職を希望する人向けの科目です。オーストラリアはヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界中から観光客が集まる観光大国であり、旅行ガイドの仕事もしやすいと言われています。ツーリズム教育も発達していて、ほとんどの大学で専攻できます。
IT、コンピューター
IT(Information Technology=情報技術)は現代社会になくてはならない産業として人気を集めています。どんな分野で仕事をするにしても、コンピュータースキルは必要。できればITの知識も多少持っているほうが有利ですね。しかもコンピューターの共通語は英語なので、英語ができてコンピューターができる人材は、日本でも世界でも大きな需要があります。
高校卒業後のオーストラリア留学への道のり
日本の高校を卒業してからオーストラリアの高等教育機関へ進学するためには、まず英語力を身に付け、カレッジスキルなどを学びましょう。
大学もTAFEも直接入学することは難しい
オーストラリアの教育制度では、日本の高校1年生にあたるYear10で進路を決めます。そして、Year11になると大学進学を希望する学生は、教養科目を勉強し、統一高等学校資格試験を受験します。この試験は各州異なり、その州の大学入学審査の審査要件となっています。
日本の高卒資格でこれに替えることはできないので、高卒者はオーストラリアのファウンデーションコースなどを修了することで認定されます。ファウンデーションコース入学には、IELTS5.5~6の英語力が必要。
留学生には門戸が広い進学準備コース
大学進学準備コースは、留学生がオーストラリアの大学で専門課程を学ぶために準備をするためのもの。大学で専攻を希望している専門分野に関連する科目の基礎を学び、ディスカッションやプレゼンテーションの仕方、リサーチスキルなどのカレッジスキルについても学びます。
ファウンデーションコース
このコースには、
1.大学が独自に設けているコース
2.大学がTAFE、その他の教育機関と共同で実施するコースの2つがあります。
認定は大学や専門分野によって異なります。
コースの学生は、学部課程に仮登録され、十分な成績でコースを終えれば、学部の本課程に進むことができます。成績は、10段階評価で、授業での発言、課題提出、研究レポート、試験の成績などにより判断。成績が基準に達しない場合は、さらにもう半年コースを繰り返します。
ディプロマコース
ファウンデーションコース同様、留学生のための進学準備コース。修了後は、大学2年に編入できます。
ブリッジングコース
TAFEの中には、進路が決まっていない学生を受け入れるブリッジングコースがあります。大学の学科仮登録はせず、英語や教養科目、カレッジスキルなどを幅広く学んでいくこのコースは、日本の大学1年生を修了した人に適しています。
語学学校の準備コース
私立の語学学校にも、ファウンデーションコースを開講している学校が多数あります。日本人留学生の大半は、入学条件がない一般英語のコースから始め、多くは半年でランクアップできます。ほとんどのファウンデーションコースは通常1年。2学期制で2月と7月が入学時期となります。
語学学校には、大学進学の資格があっても、英語力が足りないという人のために、大学進学準備英語コースも開かれており、このコースでは英語とカレッジスキルを勉強します。